円形脱毛症の分類
1)通常型:小型の脱毛斑1個(単発型)から数個(多発型)あるもの
2)蛇行型(だこうがた):側頭部から後頭部の毛の生え際に沿って毛が抜けるもの
3)全頭型:頭髪のほとんどが抜けてしまうもの
4)汎発型(はんぱつがた):頭髪以外に、体毛なども抜けてしまうもの
原因
昔から、強いストレスなどにより毛が抜けると言われてきました。しかし最近の研究からは、自己免疫反応により生じるということが分かってきました。
自己免疫反応とは、本来細菌やウィルスなどの外的と戦うために起きる免疫反応が、何らかの原因で自分の体に対して生じてしまうことを言います。
円形脱毛症では毛を作り出す毛根の部分を自分のリンパ球が攻撃し、破壊するという自己免疫反応が起きて脱毛することが分かってきました。
なぜこのような反応が起きてしまうのか、その詳しい理由はまだ分かっていません。
しかし、患者さんの家族に円形脱毛症の人がいる、あるいは双子兄弟に円形脱毛症があるとかかりやすくなるなどの例があることから、「かかりやすい体質」つまり遺伝的素因があるだろうと考えられています。
こうした元々の体質に、身体的・精神的なストレスがかかることにより、普通はうまく調節されている免疫の働きに異常を来たし、円形脱毛症になると考えられています。
治療
脱毛斑が小さく、数も少ない通常型では自然に治ってしまうこともほとんどです。
外用薬としては、炎症を抑えるステロイドの塗り薬や、局所の血流をよくする塗り薬などがあります。
ステロイドの注射も効果的ですが、脱毛範囲が広かったり、あるいはお子さんの場合には難しい場合もあります。
飲み薬としては、抗アレルギー薬、血行をよくする薬などが使われます。
全頭型や汎発型など、範囲が広く、また、激しく抜けている時期にはステロイドの飲み薬や点滴による治療を行うこともあります。
治療が長引く場合にはウィッグをうまく利用するのもよいでしょう。
円形脱毛症関係のある病気?
アトピー性皮膚炎の方では、普通の人と比べて円形脱毛症にかかりやすいと言われています。
また、自己免疫による甲状腺の病気や、膠原病、貧血なども円形脱毛症に関連すると言われています。
症状が長く続く、繰り返す、だるいなどの身体症状がある、など異常を感じた際には、採血など検査をした方がいい場合もありますので、皮膚科でご相談してみてください。
男性型脱毛症
頭のてっぺんや額の生え際など、特定の部位が薄毛になる場合には、男性型脱毛症の可能性も考えられます。
男性型脱毛症は現在、有効な飲み薬や塗り薬は開発されています。
何らかの脱毛症に気づいた場合にはできるだけ早く皮膚科でご相談されることをおすすめします。