白癬菌が皮膚に感染したものがいわゆる水虫ですが、白癬菌が爪に感染すると爪水虫となり爪の変形や変色を来たします。
足の爪に生じることが多いですが手の爪に生じる場合もあります。
爪を少し採取して顕微鏡で観察し、白癬菌がいることを確認して診断します。
はっきりしない場合には培養検査を行って確定診断を付ける場合もあります。
症状
爪が白くなったり、厚くなったりします。
かゆみなどの自覚症状はないことが多いです。
治療
爪水虫の治療には外用薬、内服薬があります。
・外薬用
外用薬は、1日1回白癬菌が感染した爪全体に薬を塗ります。
全身的な副作用はほぼないため、内服薬と比べて使いやすいと思います。
ただし外用薬にかぶれて爪周囲の皮膚の発赤やかゆみが生じる場合があります。
なるべく皮膚に付着しないように塗るようにしたり、爪からはみ出た場合にはティッシュ等で拭き取っていただくとこういった副作用が出にくいと思います。
また、爪が厚くなっている場合には薬が浸透しづらく、治りにくいという欠点もあります。
そういった場合には、外用する前にやすりをかけてから外用したり、内服薬での治療を考えてもよいと思います。
・内薬用
内服薬は、古くから使われているものでテルビナフィン塩酸塩錠というものがあります。
1日1回半年程度内服します。
内服薬の注意点としては肝機能障害や貧血・白血球減少などの副作用が出現する場合があり、1か月に1回程度採血を行って、このような症状が生じていないか調べる必要があります。
また、他の病気でもらっている内服薬との飲み合わせが悪い場合もありますので注意が必要です。
一方で2018年にネイリンカプセルという新しい飲み薬も出ました。
テルビナフィン塩酸塩錠同様に副作用が出現する場合があるため採血検査が必要ですが、こちらの薬剤は内服期間が3か月で済むので、受診・採血の回数が少なくて済みます。
薬価が1カプセルあたり約800円なので、トータル3か月となると約70,000円程度かかります。
3割負担の方で21,000円程度とやや高額になるのが欠点でしょうか。
ちなみにテルビナフィン塩酸塩錠に関しては1錠あたり約165円なのでトータル6か月で約30,000円程度となります(3割負担の方で10,000円程度)。
また、テルビナフィン塩酸塩錠はジェネリック医薬品もありますので、そちらを選択するとさらに薬価は少なくて済みます。
どのくらいで治るのか?
内服薬・外用薬共通の注意点ですが、「爪水虫はすぐには治らない」という点です。
一度白癬菌に感染してしまった爪が元通りになるということはなく、根本から新しくきれいな爪が生え変わることで治っていきます。
爪の生え変わりには個人差があり、足の爪だと早い方で半年程度、長いと1年以上かかる方もいらっしゃいます。手の爪では3か月から半年程度で生え変わって治る方が多いです。
外用薬はその間継続して外用していただく必要があります。
内服薬も、ネイリンカプセルの内服期間は3か月ですが、治るまでの期間はテルビナフィン塩酸塩錠と変わらず、3か月間飲み終わったあとは半年から9か月程度生え変わりを待つようなイメージです。
今現在の内服薬やライフスタイルなどで治療をご相談できればと思います。